映画「グリーンブック」から人種差別の現実を知る

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    黒人専用宿を記したグリーンブック


    「しきたり」や「慣例」と名を変えた人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカが舞台の映画「グリーンブック」を観ました。

    粗暴でおしゃべりなイタリア系アメリカ人ドライバー、トニー・“リップ”・バレロンガ(演:ビゴ・モーテンセン)と礼儀正しい天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリー(演:マハーシャラ・アリ)がアメリカ南部のお金持ちを相手に演奏ツアーの旅に出るというお話。

    黒人差別という重いテーマながら、ユーモア満載で、時折ラジオから流れてくるポップな音楽を交えながらコミカルに描いている作品です。

    ツアー中、トニーが妻に書いている手紙を指南したり、潔癖症に見えるシャーリーにフライドチキンの豪快な食べ方(捨て方)を教えたりと、シャーリーと雇ったトニーが正反対の性格ながら互いに交流を深めていく様も丁寧に描かれていました。

    この映画は実話を元にしており、トニーとシャーリーの交流は2人が亡くなるまで続いたらしいです。

    映画のタイトルにもなっている、黒人専用宿が載っている「グリーンブック」というものがあるらしい。このような本が出回るというのは、アメリカには、「文化的」にも人種差別が強いのだと痛感しました。グリーンブックと日本人が聞くと、植物の育て方や環境問題に関係のある本かと思われがちですが、由来は本の著者「ヴィクター・H・グリーン」からとったものらしい。

    家の中のトイレが使えない

    シャーリーは、とある演奏旅行の最中、演奏の合間にトイレに行こうとしたが、家の主人にナチュラルに外のほったて小屋のようなトイレに行くよう進められていた。

    シャーリーは反抗し、泊まっていた宿へ用を足しに戻っていたが、劇中の演技では、さも当然のような表情で外のトイレを進める家の主人が見てとれた。悪気もなく本当に当然(慣例)という仕草で。

    これは、アメリカ南部における黒人差別の根深さが見て取れる印象的なシーンでした。

    スーツの試着ができない

    街中を歩いていたトニーとシャーリー、おしゃれなスーツが目につき、購入しようと店の中に入り試着を試みるが、こちらも先ほどのトイレと同様に、さも当然のようにシャーリーに対して「あなたに試着されると困る」と言い放っていた。

    普段、粗暴で厄介者扱いされそうなトニーと、博識で礼儀正しく皆から尊敬されそうなシャーリー。

    そんな二人のコントラストが差別を通じてより際立っていました。

    黒人を夜に出してはいけない、レストランで食事ができない「決まり」

    高圧的な警官を殴ってしまったトニーも悪いが、「黒いのが夜中に出歩いた」という差別的な理由で勾留されてしまうシーンと、最後の演奏会場でシャーリーがレストランで食事ができないというシーンも印象的で衝撃的。

    こちらも、レストランの「しきたり」として根底から人種差別が根強いと考えさせられるシーンでした。

    SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」

    グリーンブックで見た差別のように世界では、根強い差別意識が世界中に潜んでいます
    生まれや、見た目、信仰心などで差別を受けることはあってはならない事です。

    人種差別は、本作でも描かれているような、白人社会による黒人の人種差別や、ユダヤ人の迫害など、世界を作ってきた歴史の中で古くから根強く存在してきました。

    現在でも人種的な差別はあらゆる場所で続いていますが、条約などを定め各国で改善の取り組みが行われています。

    日本でも人種差別の啓発・広報などにより改善に向けた施策が講じられています。

    人種差別は日本人にとってはあまり馴染みがありませんが、一歩海外に出ると黒人だけではなく黄色人種への差別も強い事を痛感します。

    目が細かったり、歯が出ていり(私がそうですが 泣)。

    個人でできることは少ないかもしれませんが、グリーンブックなどのセンシティブな作品を見ることにより、作品を通じて疑似体験・感情移入して問題を知り「自分事」として捉えてみること。がまず大切だと思います。

    重いテーマですが、最後は心温まる傑作でした。

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