映画「MOTHER」から子どもに対する虐待、搾取の撲滅を考える

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    映画「MOTHER」

    映画「MOTHER」は2020年7月3日公開の日本映画。監督は大森立嗣さん、主演は長澤まさみさん。実際に起きた、17歳の少年が祖父母を殺害し、キャッシュカードなどを奪った「少年による祖父母殺害事件」に着想を得たものとなっています。

    全体的に重く暗い雰囲気で、「あぁ面白かった」とはいかない映画ですが、
    役者さんの演技力の高さに魅せられた多くを考えさせられる映画でした。

    ボーダーか怠惰か

    長澤まさみさん演じる秋子は、生活費も他人に無心し、働かない。さらにお金を借りるのも自分の息子に行かせるという精神疾患のボーダーが疑われる言動が多かったですが、生活保護などはもらいに行かないことから、怠惰と見分けがつかない感じで、ただのだらしのない女として描かれていました。

    他者との依存関係

    映画を見ていると、秋子の対人関係には「対等」な関係にある人物が描かれていなかったですね。
    男性には依存か同情、子供には共依存とマウンティング。

    他者との関係が希薄と思いきや、一度、関係ができると必要以上に依存体質になってしまう。
    自分の息子だからこそ、その思いが強く、息子には「愛情」として歪んだ形で伝わったのではないでしょうか?

    「自分で産んだ子は自分の分身だから、どう育てようが私の勝手」、「なめるようにして育ててきた」という印象的なセリフがそれを物語っています。

    ラストシーン

    現実の判決は、懲役15年の周平と懲役4年半の秋子。

    息子に犯行を指示したのに事件後は無実を主張し自分で産んだ子は自分の分身だから、どう育てようが私の勝手と言い切る秋子。一方、周平は全部自分でやったと、秋子を庇っている。

    長澤まさみさん演じる秋子のラストシーンの表情は、上記の2人の関係をどう考えるかで変わってくる圧巻の表情演技でした。

    子供は親を庇って当たり前の表情か、または、罪を被った周平への罪悪感の表情か?
    個人的には前者であって欲しいが、現実は後者なのだろうと思い。表現しづらい感情となりました。

    目標 16 平和と公正をすべての人に

    SDGs目標16のターゲットで、「子どもに対する虐待」に関するものは16.2です。

    16.2:子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
    この目標、ターゲットを見ると、日本にはあまり関係ないように感じますが、
    映画「MOTHER」のように、先進国の日本ならではの子供の虐待が現実的に起こっています。

    映画の中でも夏帆さん演じる児童相談所の職員である亜矢も頑張っていましたが、虐待(親との歪んだ共依存)されている子どもをすぐに見つけることはとても難しいことです。まずは子どもの虐待の現状を知り、少しでも行動することが私たち大人に求められています。

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